ここ数年で「クラウドファンディング」という言葉を、テレビや新聞・雑誌の記事で目にすることが多くなってきました。
クラウドファンディング(Crowd Funding)とは、
で、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語です。
中には「クラウドという単語なら知っている」という方もいらっしゃるでしょう。
確かに、「クラウド」という言葉をインターネットで検索すると、クラウドコンピューティング、クラウドサービス、
クラウドシステム等々、複数の関連ワードがHITします。
しかしながら、日本語のカタカナでは全て「クラウド」と発音・表記されますが、「雲(=cloud)」が語源になっているものと
「群衆(=crowd)」が語源になっているものが混在していることを知っている方は多くないと思われます。
クラウドファンディングの場合の「クラウド」は、その手段としてインターネットを活用されることが多いことから、IT用語としての
「雲(=cloud)」だと思われがちですが、前述の通り、「群衆(=crowd)」が語源となっております。
クラウドファンディングという言葉の歴史はまだ新しいものですが、不特定から資金を集めるその仕組み自体は古くから行われておりました。
最も古いエピソードは17世紀のヨーロッパで、書籍の印刷代を寄付金で賄い、その見返りとして寄付者の名前をその本に掲載するという権利を提供した、とされており、これがクラウドファンディングの原型と言われております。
また1884年のアメリカでは、自由の女神の台座建設のため新聞紙面で寄付を呼びかけた結果、大衆から10万ドル集まったとされております。
しかも、その多くが1ドル以下の小額寄付であったことから、寄付者の数は100万人以上であったと言われております。
インターネットの普及により、より広範囲の不特定多数の方々に対して募集をかけることができるようになりました。WEBサイトを立ち上げて資金を集めるという現在のクラウドファンディングサービスの形式は、2000年頃にアメリカで始まったと言われております。
クラウドファンディングは、資金提供者へのリターン(見返り)の形態によって「寄付型」「購入型」「投資型」の3つのパターンに
分類されます。それぞれの違いについて、以下で解説いたします。
資金提供者に対する金銭的な見返りがないパターン。事例としては、途上国支援や被災地支援等への資金提供がこの寄付型にあたります。
資金提供者に対して、金銭以外の形(商品やサービス等)で還元するパターン。事例としては、コンサート開催のための資金を提供してくれたファンに対して入場チケットを交付したり、絵本製作資金を提供してくれた方々に対して完成した絵本を配布する等、先行販売や事前購入に近い形態が購入型にあたります。
資金提供者に対して、金銭(配当金や分配金等)で還元するパターン。
実は、投資型もさらに「事業投資方式」と「融資方式」の2種類に分類されます。
事業投資方式は、対象事業者に投資してくれた資金提供者に対して、事業収益を源泉とする収益分配がなされる仕組みです。
その分配は主に収益連動とすることが多いため、配当金や分配金は毎回変動する可能性があります。
融資方式は、貸付を行う金融会社へ出資してくれた資金提供者に対して、貸付先からの元利金の返済金を源泉とする収益分配がなされる仕組みです。その分配は契約で定められた返済計画と連動することから、分配金は概ね定額となるものと考えられます。融資方式の投資型クラウドファンディングは、一般的には「ソーシャルレンディング(Social Lending)」と別称で呼ばれております。
日本国内においてもクラウドファンディングの市場は年々拡大しております。しかしながら、金融商品取引法の規制等の関係から、その殆どは「購入型クラウドファンディング」となっております。また、「投資型クラウドファンディング」は少額で分散投資できることから、新たな資産運用方法の一つとして注目されております。
主な形態 | リターン例 | 登録の要否 | |
寄付型 | なし | 特になし | |
購入型 | 商品やサービス等 (金銭以外) |
||
投資型 | 事業投資方式 | 配当や分配金(収益連動) | 第二種金融商品取引業 (上場株式を取扱う場合は第一種金融商品取引業も必要) |
融資方式 (ソーシャルレンディング) |
分配金(原則は一定条件) | 第二種金融商品取引業 貸金業 |